公益通報者保護法が改正されます

はじめに

2026年12月1日に公益通報者保護法の改正が行われます。

今回のコラムでは、公益通報者保護法を簡単におさらいして、改正のポイントをお話したいと思います。

法律の名前より「内部通報制度」と言ったほうが馴染みがあるかもしれません。

消費者庁の調査では不正発見の端緒の多くが内部通報によるものと結果が出ていますので、重要な仕組みの1つです。

公益通報者保護法とは

事業者が講じる措置として主に次のことが挙げられます。
・公益通報に対応する業務の従事者を定める。
・公益通報に応じて、適切に対応するために必要な体制を整備する。
・その他の必要な措置を講じる。

そしてこれらの措置は、企業規模によって義務または努力義務の違いがあります。
義務:常時雇用する労働者が301人以上
努力義務:常時雇用する労働者が300人以下

基本的な内容として、これらを把握しておきましょう。

法改正の概要

それでは次に2026年12月1日改正の概要を見てみましょう。

公益通報できる人の範囲が拡大

公益通報ができる人に「フリーランス」が加わります。
・従業員(正社員、パート・アルバイト、派遣社員、業務委託先の従業員など)
・役員(取締役、監査役など)
・退職者(退職して1年以内の従業員も含みます)
・フリーランス(業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスも含まれます)←New
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通報を理由とする不利益取扱いに対する規制の強化

通報後1年以内に行われた解雇や懲戒処分は、公益通報を理由として行われたものだと推定することになります。

「推定する」ということは、仮に通報後1年以内に通報とは別の理由で解雇や懲戒処分をした場合には、通報とは関係がないことを反証できなければなりません。

また、通報を理由に解雇や懲戒処分を行った行為者と企業に対して、刑事罰が新設されます。

6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科されるほか、企業に対しては3,000万円以下の罰金が科されます。

通報妨害や通報者を探索する行為を禁止

事業者から公益通報ができる人に対して、次のようなことが禁止事項として明示されます。
・「公益通報はしない」といった誓約書を書かせること。
・公益通報をしない旨の合意をすることを求めること。

このような事情を含んで取り交わされた誓約や合意などの内容は無効とされます。

また、公益通報をした可能性がある人に対して公益通報をしたかを聞くなど、通報者を特定することを目的とする行為も禁止となります。

条文には「正当な理由なく」という文言がありますが、正当な理由を事業者が証明するのはとても難しいでしょう。

実効性の向上

これまでは消費者庁の勧告に従わない場合、公表の行政措置がとられる仕組みでした。

今回の改正で勧告に従わない場合には、公表に加えて刑事罰(30万円以下の罰金)などが新設されました。

法改正対応のポイント

①社内規程やマニュアル等の確認
301人以上の事業者であれば、多くの場合で内部通報に関する規程やマニュアルを作成していると思います。
施行日までに修正案を整え、12月1日までに周知できるよう準備を進めましょう。

②誓約書や合意書の確認
ないとは思いますが、通報妨害と解されるような表現がないか確認しましょう。

おわりに

今回の公益通報者保護法の改正は、日頃からしっかり取り組んでいる事業者であれば大きな改正ではありません。

重要なことは、刑事罰が強化されることで未対応や誤った運用が企業の信用だけでなく、金銭的ダメージも増加することです。

なお消費者庁が役に立つ資料を作成・公開していますので、こちらを活用することもお勧めします。
(消費者庁:はじめての公益通報者保護法)

事前に専門家に相談し、対応を協議・実施して、12月1日を迎えましょう。