日本版DBSと就業規則のポイント

はじめに

以前のコラムで簡単に触れたように、日本版DBSの開始に伴い就業規則を見直すことが必要となっています。

主に指摘されている項目としては「内定取消」「試用期間中の解雇」「配置転換」「普通解雇」「懲戒解雇」などです。

これらに共通して言えることは、出口(雇用契約の終了)の規定であることです。
(配置転換は雇用継続の要素を備えつつも、人によっては出口への第一歩と捉えるでしょう)

今回のコラムでは、これら出口以外の部分に着目した就業規則の見直しポイントを述べていきたいと思います。

本コラムでは「学校設置者等」「民間教育保育等事業者」を会社と表記し対象従事者」を従業員と表記ます。

こども性暴力防止法と就業規則の関係

就業規則の性質を簡潔に表すと、「会社と従業員」との関係(権利義務など)を定めるものと言えます。

そして日本版DBSと言われるこども性暴力防止法は、「国と会社」との関係にルールを課すものになります。

つまり、日本版DBSという制度がはじまるからといって、ただちに内定取消、配置転換や解雇ができるものではありません。

あくまでもこうした処置を行うには、就業規則を整えておかねばならないのです。

具体的な例

一例として、こども性暴力防止法第8条を見てみましょう。

(研修の実施)
第八条 学校設置者等は、児童対象性暴力等の防止に対する関心を高めるとともに、
 そのために取り組むべき事項に関する理解を深めるための研修を教員等に受講させなければならない。

このように法律では国が会社に対して研修を従業員に受講させる義務を課しています。

見方を変えれば、この法律では「研修を従業員が受講しなければならない」とはなっていません。

会社は研修をしなければならないのに、従業員が研修を受講しない...そんなケースもあり得るのではないでしょうか。

研修を受講させるためには

このようなケースを防ぐためには、従業員に対し、就業規則で日本版DBSに関する研修の受講義務を課すことが考えられます。

そして義務を果たさない従業員には注意・指導を実施し、最終的に懲戒処分という措置を講じていきます。

一般的には業務と密接な関係がある研修では、就業規則に研修受講義務の規定がなくても当然に権利義務関係に含まれると考えられています。

しかし、従業員に対するメッセージや抑止力としては規定化してもいいのではないでしょうか。

おわりに

このように研修は出口ではなく、日々の労務管理の部分にあたります。

こども性暴力防止法では、研修以外にも従業員に対して義務化しておくことが適当であると思われる項目がいくつかあります。

日本版DBSの開始に向かって、同法で会社に対して様々な措置を講じることを求めているものの中から、
どのようなものを従業員に義務付けることが必要なのかを選択し、就業規則によって義務化することが重要です。

就業規則を制定・改定する際には、専門家の意見を伺うことをお勧めします。