過半数代表者(労働者代表)選出の注意点
はじめに
新年度に向けて就業規則の変更や各種協定のまき直しをすることが多い時期になりました。
その際の手続においては、過半数代表者(労働者代表)を選出することになります。
しかし、この選出をどのように実施したかということに注意を払わなければなりません。
今回は過半数代表者(労働者代表)の選出に着目してみたいと思います。
不適切な選出がこわい結果を招く
先日、次のような内容で書類送検された事例がありました。
・会社は時間外・休日労働に関する協定(36協定)を届け出ていたが、会社が過半数代表者(労働者代表)を一方的に指名していた。
・その状態で、労働者に1か月当たり1時間程度の時間外労働をさせた。
・労働基準監督署は、過半数代表者が適正に選出されていないため、36協定を無効と判断した。
つまり、過半数代表者(労働者代表)の選出方法に不備があり、36協定が無効となり、たった1時間の残業でも違法とされたということです。
なお、1日あたりの平均残業時間はわずか数分だったとのことです。
法令が定める選出方法
では法令が示す正しい選出方法を見てみましょう。(労働基準法施行規則第6条の2第1項)
①パートやアルバイトなども含めた事業場すべての労働者の過半数を代表していること。
②労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人、つまり管理監督者ではないこと。
③労使協定締結のために過半数代表者を選出することを明らかにした上で、投票・挙手などにより選出すること。
そして、「投票・挙手など」について行政通達では次のように示されています。(平成11年3月31日基発第169号)
・労働者の話合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きが該当。
つまり、①から③までを満たし、過半数が選任を支持していることが明確になる民主的な手続きであれば各事業場に即した方法でいいということです。
具体的な選出例
例えば事業場の特性に応じて次のような方法が考えられます。
前提として、過半数代表者(労働者代表)に立候補する機会が全員平等に与えられていることからはじまります。
【労働者全員が集まる機会が多い】
・選挙のような投票方式
・朝礼などの場での挙手方式
【労働者全員が集まる機会が少ない】
・候補者リストに署名や押印をしていく回覧方式
なお、「過半数代表者(労働者代表)の任期制」については、議論が分かれる部分でもあります。
個人的には、法令の要件を満たし、かつ1年程度の短い任期であれば可能だと考えます。
いずれにおいても重要なことは、紙ベースでもシステムでも記録に残しておくことになります。
おわりに
時間外・休日労働に関する協定(36協定)をはじめ、変形労働制などで労使協定が無効になることは大きなリスクです。
協定に限らず、労務管理全般にいえることは、形式だけでなく過程における実体が重要だということです。
社会保険労務士はこのような実体の部分にまで着目して依頼主をサポートします。
専門家を活用して、安心・安全な労務管理を作り上げていきましょう。

