くるみん・えるぼしの認定に必要なこと

「くるみん・えるぼしの認定を受けたいけど、難しそう...」
「何から手をつければいいのかよくわからない...」

このようなお声が耳に入ることが少なくありません。

今回は、認定に向けて必要となる知識についてざっくりとお話していきます。
(人数要件などで若干異なる部分はありますが、今回は割愛します。)

「くるみん・えるぼしとは何...?」という場合は、こちらの記事をご一読ください。

全体の流れ

概ね次のような流れで申請し、認定を受けることになります。

① 認定基準の把握
② 自社の分析
③ 一般事業主行動計画の策定・届出
④ 一般事業主行動計画の内容を実施
⑤ 情報公表
⑥ 認定の申請

① 認定基準の把握

くるみん・えるぼしの認定を受けるためには、基準を満たすことが必要です。

くるみんとえるぼしには共通の基準もあれば、異なる基準もあります。

これを整理すると次のようになります。

共通の基準
・事業主行動計画策定指針に即した適切な一般事業主行動計画を定めること。
・定めた一般事業主行動計画を労働者に周知し、外部にも公表すること。
・厚生労働省所定のホームページに指定されている項目を公表すること。
 (くるみん:両立支援のひろば / えるぼし:⼥性の活躍推進企業データベース
・法、法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。

くるみん独自の基準
・行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること。
・男性の育児休業取得率が所定の率以上であること。
・女性の育児休業取得率が所定の率以上であること。
・フルタイム労働者の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月30時間未満であること。
・月平均の法定時間外労働が60時間以上ある労働者がいないこと。
・基準で定める3つの措置から1つ以上を選び、その成果に関する具体的な目標を一般事業主行動計画に定めて実施していること。

えるぼし独自の基準
・「採用」に関する所定の率を満たすこと。
・「継続就業」に関する所定の率を満たすこと。
・「労働時間等の働き⽅」として法定時間外労働及び法定休⽇労働時間の合計時間数の平均が、
 直近の事業年度の各月ごとに全て45時間未満であること。
・「管理職比率」に関して管理職に占める⼥性労働者の割合が所定の率を満たすこと。
・「多様なキャリアコース」に関して直近の3事業年度内に所定の実績があること。

自社の分析

法改正により、直近の事業年度における次の事項を把握し、課題分析を行うことが義務化されました。
・育児休業等の取得状況
・労働時間の状況

また、一般事業主行動計画もくるみん・えるぼしそれぞれに認定基準が設けられているので、
事業主行動計画策定指針と認定基準を把握しながら策定する必要があります。

一般事業主行動計画の策定・届出

一般事業主行動計画を策定したら次の措置を実施します。
① 労働者への周知
② 外部公表
③ 管轄労働局へ届出

これらの措置を実施した際にしておくことは次のとおりです。
①の周知はエビデンスを求められますので、記録しておくことが重要です。
(例えば社内イントラで通達によって周知するのであれば、日付がわかるようなスクリーンショットをとっておくなど)
②の外部公表は、くるみんなら「両立支援のひろば」、えるぼしなら「⼥性の活躍推進企業データベース」を活用します。
様々なデータを両サイトで公表する必要があるので、公表ツールは集約したほうが効率的です。

なお、くるみんは「次世代法」、えるぼしは「女性活躍法」と異なる法律ではありますが、一般事業主行動計画は共通として策定・届出することが可能です。

一般事業主行動計画の内容を実施

一般事業主行動計画を策定し、労働者へ周知したらその内容を実施していきます。

くるみん認定を目指している場合は、認定基準に「一般事業主行動計画に定めて実施していること」とあるので、必ず実施し、その都度エビデンスを残しておくことが重要です。

情報公表

既に何度か記載していますが、くるみんなら「両立支援のひろば」、えるぼしなら「⼥性の活躍推進企業データベース」に必要な情報を掲載します。

少なくとも年1回はメンテナンスをする必要がありますので、時期(毎年●月など)と担当者を定めて、メンテナンスの都度スクリーンショットを残しておくことをお勧めします。

メンテナンスを失念してしまうと認定基準を満たさなくなってしまうので注意しましょう。

認定の申請

認定申請に際しては、いくつかポイントがあります。

えるぼしでは、基本的に認定基準が「直近事業年度の実績」で見られることになります。
対してくるみんでは、「行動計画が最低2年」「行動計画を実施していること」が認定基準にあるので、認定申請は最低でも2年に1回とイメージされてよいかと思います。
(必ずしも絶対ではありません。)

また、えるぼしの認定基準に頻出する「雇用管理区分」は、認定申請の前に労働局で確認しておくことをお勧めします。
企業様がイメージしている雇用管理区分と労働局がイメージしている雇用管理区分は必ずしも一致しないことが多々あります。
確認せずに申請書を提出すると添付資料の大幅な修正を求められることがあります。

おわりに

以前のコラム“「くるみん」「えるぼし」とは?”にも記載しましたが、認定を受けることで得られるメリットもあります。

お手軽という性質のものではありませんが、日々の労務管理がしっかりできていれば認定は十分に目指すことができます。

社会保険労務士は、一般事業主行動計画の策定支援やくるみん・えるぼし認定の支援も役割の一つです。

認定を目指してみてはいかがでしょうか。