振替休日は拒否するが代休を要求...これってアリ?

以前、このような事案に遭遇したことがあります。

どうやらこの労働者は労働基準法の仕組みのことをある程度理解しているようです。

このようなケースに労務担当者が取る方法を今回のテーマにしてみます。

振替休日と代休の違い

振替休日と代休には明確な違いがあります。

書籍やインターネットで簡単に調べることができますので、ここではざっくりと説明します。

振替休日:事前に特定されている労働日と休日を入れ替えること。

代休:特定されている休日に勤務した後、事後に休日を与えること。

つまり、事前に入れ替えを済ませているか、休日の勤務後に本来労働日である日に休日となるかの違いです。

振替休日と代休では賃金が変わる

冒頭の労働者が代休にこだわる理由、それは「賃金」でした。

振替休日では事前に労働日と休日を入れ替えているため、割増賃金の問題は発生しません。
ケースによっては振替休日でも割増賃金が発生する場合もあります。

ただし、代休では既に休日労働の事実があるため、割増賃金の支払義務が生じます。

つまりこの労働者は、最終的に同じ労働日数・休日日数になるのであれば、「割増賃金があるほうが得」と考えたということです。

防ぐためには就業規則の表現が重要

多くの会社の就業規則には振替休日や代休に関する規定があります。

重要な点は「会社の業務命令権に基づいて振替休日や代休が行われる表現であること」が規定から読み取れるかということです。

振替休日や代休を労働者が選択できるような表現だと、労働者側にそのような権利を与えているということになります。

会社の命令権が明確であり、正当な業務命令として発せられたのであれば、労働者は振替休日の命令に従う義務があります。

よって掲題の「振替休日を拒否して代休を請求する」ということがあっても、これを会社は拒否できるということになります。

(実際に就業規則を根拠に本人に説明をして理解してもらいました。)

このように就業規則の表現一つが結果を左右します。

振替休日や代休以外にも権利義務を明確に規定しておかなければリスクに繋がることが多くあります。

代休は他にも明確にしておくことがありますが、それは別の機会で述べたいと思います。

就業規則の作成や見直しは、多くの事案に対処してきた当事務所にぜひご相談ください。