「くるみん」「えるぼし」とは?
働きやすさのお墨付き
「くるみん」や「えるぼし」という言葉、よく耳にしますよね。
これらは、厚生労働省が「働きやすい企業」と認定する際に付与するマークです。
今回は、会社が「くるみん」や「えるぼし」マークを取得する具体的なメリットを分かりやすくご紹介します。
①会社のイメージアップとブランド力強化
「くるみん」や「えるぼし」マークを取得している会社は、それだけで「従業員のことを大切にしているホワイト企業」という印象を与えられます。
このマークは、名刺やウェブサイト、求人情報に載せることができるので、以下のようなメリットが生まれます。
社会的な信頼度アップ
仕事と生活の調和や多様性の推進は、今や企業の社会的責任(CSR)の重要な要素です。
「くるみん」や「えるぼし」は、企業が社会貢献に積極的であることを明確に示し、社会的な信頼を高めます。
ブランディング効果
顧客、取引先、投資家など、あらゆる方面に対してポジティブな印象を与え、企業の価値を高めることにつながります。
昨今のブラック企業というレッテル貼りに対抗できる素材とも言えますね。
②優秀な人材の獲得と定着
求職者は、給与だけでなく「働きやすさ」を重視する傾向が強まっています。
特に子育て世代や女性にとって、「くるみん」や「えるぼし」マークが企業選びのポイントになります。
採用競争力の強化
働き方やワーク・ライフ・バランスを重視する求職者に対し、他社との明確な差別化が図れます。
これにより、優秀な人材を惹きつけ、獲得競争において優位に立てます。
離職率の低下と定着率向上
働きやすい環境が整うことで、従業員は安心して長く働き続けられます。
これは、貴重な経験やスキルを持つベテラン社員の離職を防ぎ、会社の財産として活かし続けられることを意味します。
従業員の帰属意識向上
会社が従業員の生活設計やキャリアに配慮している姿勢を示すことで、従業員の会社に対する信頼感や愛着が高まります。
これは、従業員の意欲向上や自律的な働き方にもつながります。
私も会社員時代に「くるみんとえるぼしがあることが御社を選択した理由の一つです。」と求職者から聞いたことがあります。
これは、働きやすさを重視している傾向を証明する印象深い出来事でした。
③生産性の向上と組織の活性化
働き方改革は、単に従業員のためだけでなく、企業の生産性向上にも直結します。
多様な視点と変革の促進
女性や子育て世代など、多様な背景を持つ人材が活躍できる環境は、組織に新たな視点や価値観をもたらします。
これにより、画期的な創造や変革が生まれやすくなり、企業の競争力強化につながります。
ワーク・ライフ・バランスによる効率化
長時間労働の是正や柔軟な働き方(例:テレワーク、短時間勤務)の導入は、従業員の心身の健康を保ち、集中力や生産性を高めます。
結果として、業務効率や業績の向上にも貢献します。
組織風土の改善
働き方改革への取り組みは、社内のコミュニケーションを活性化させ、ハラスメント防止など、組織全体の風土をより良くする効果も期待できます。
効果を実感するには時間がかかりますが、「くるみん」や「えるぼし」をきっかけに会社全体で取り組み始めるいい機会です。
④経済的な優遇措置と公的な評価
「くるみん」や「えるぼし」の認定企業には、国や自治体による様々な優遇措置が用意されています。
賃上げ促進税制の上乗せ
これらの認定企業は、賃上げ促進税制による税額控除率が上乗せされる場合があります。
実質的な税負担を軽減できる可能性があるのは大きなメリットです。
公共調達での加点評価
国や地方自治体の入札や企画競争において、認定企業は加点評価の対象となります。
公共事業を受注する機会が増える可能性が高まります。
日本政策金融公庫の低利融資
えるぼし認定企業は、日本政策金融公庫から優遇された低金利で融資を受けられる場合があります。
これは、設備投資や事業拡大の資金調達において有利に働きます。
各種助成金の対象
両立支援等助成金など、働き方改革や女性活躍推進に関する様々な助成金の申請において、認定企業であることが有利に働く場合があります。
企業規模や取得しているマークなどの諸要件によっては対象外となることもありますが、
そのためにステップアップを目指し、会社経営にも従業員にもプラスとなる仕組みづくりも一つの方法です。
まとめ
「くるみん」や「えるぼし」の取得は、単に法律を守るだけでなく、企業の持続的な成長を実現するための戦略的な投資と言えます。
これらの認定は、社内外に対して企業の「働きやすさ」を明確に示し、優秀な人材の確保・定着、生産性の向上、そして企業のブランド価値向上に大きく貢献します。
ただし重要なのは、「会社の実態に合った」「現実的に可能な目標を」「一般事業主行動計画に落とし込む」ことです。
あくまでも目的は「働きやすい会社づくり」であって、「マークの取得」ではありません。
マークの取得は、「働きやすい会社づくり」という目標を達成する1つのアイテムにすぎません。
当事務所では、行動計画の策定支援も行っておりますので、必要に応じてご相談ください。